基本文法から学ぶ 英語リーディング教本
https://gyazo.com/374c36ffa53064ea34088e6a9fda8b29
2021
「品詞と活用と働きの相互関係」を体得するための独習書
本書は、読者をわかった気にさせて、気持ちよくさせることを目的とした本ではありません。読者が本当にわかって、自分でできるようになることに責任をもつ本です。ですから「本当はわかっていないのに、わかったような気になる」のを断固として阻止します。要所要所できわどい質問を投げかけて、読者の「わかったつもり」を木端微塵に打ち砕きます。本当にわからない限り、わかった気にさせません。
文法書ではない
この本は『英文法基礎講座Stage-1, 2, 3』のエッセンスを書籍化したものです。この本をお手元に置いて『英文法基礎講座』を視聴すると、より効果的に「正しい英語の読み方(=品詞と働きと活用の相互関係に基づく英語の読み方)」を身につけることができます。 到達点
著者は主として中高生向けに書いたようだ
次
ここまでであとは原書を読めと主張している
純粋にreadingに特化した本であって、これをやっても話せるようにはならないと思うので自分の中でウェイトは低め。のんびりやる。
明治の知的エリートはこういうことを全員やっていたから英語が読めたみたいなことが書いてある。タネ本があるのかな?
この本が出た後数年でドリルが2冊出ている
学習塾が、この本を読む時間や根気がない学生にはドリルをやらせることがある
いろんな用語に別名を重ねている印象
本書では次のように説明される
修飾(かかる)
他の語の助けを借りずに(引用者注:他の語を)説明すること
「修飾する語」と「修飾される語」の2語の関係を示す
「関係」が未定義なのでやや曖昧な印象を受ける(日常用語の関係という理解で十分なんだろう)基素.icon
しかしここで「関係」という新たな未定義語を出すよりも、その語が他の語を説明することを修飾として定義し、この語から語への関数を関係rと定義する方がはっきりする
定義:関係f
$ \text{for } X, Y \in W, \quad f(X) \to Y
ただしWはwordの集合
X が語 Y にかかる(説明する)ことを表す
$ f(\text{cold}) \rightarrow \text{milk}
「→」は写像ではなく、XがYを説明することを意味する
f(X) の定義は X の品詞に依存する
code:tex
\begin{cases}
f(X) \rightarrow \text{Noun} & \text{if } X \text{ is an adjective (Adj)} \\
f(X) \rightarrow \{Adj, Adv, Sentence, Verb\} & \text{if } X \text{ is an adverb (Adv)}
\end{cases}
みたいな感じ
語Xが他の語Yを説明する(情報を付け加える)こと基素.icon
例:cold(形容詞)はmilk(名詞)に情報を付け加える。形容詞の働きは名詞を説明すること(=名詞修飾)である。
語の働きの種類には2種類ある基素.icon
補語:語Xが他の語Yの力を借りて、他の語Zを説明すること He is cute.
形容詞cuteがbe動詞isの力を借りてHeを説明している
これを「形容詞の働きは補語」と簡潔に表現できる
table:関係
品詞の働き
品詞 修飾(以下のYを単体で説明する) 補語
形容詞(cute) 名詞(cute cat) 名詞(He is cute)
副詞 副詞、動詞、形容詞、文章 ❌
どちらを修飾するのかのルールがないので、なぜそうなるのかわからない
問題1
eat much sweet fruit
2021/11/26 v←adとしてしまった
2025-05-15 muchはsweetにかかるのかなと思ったらfruitにかかっていた
code:txt
much → sweet(副詞 → 形容詞)
GPT-4o.icon“much” は通常、原級の形容詞(sweetなど)には使わない。原級なら、“very” や “so” のほうが使われるのが普通
much は形容詞の比較級(sweeter, bigger)にはよくかかる
much better, much sweeter
文学や詩、古い表現では「much sweet」も存在します
“much sweet sorrow”(from Shakespeare)
これは現代英語では「very sweet sorrow」と言うほうが自然
回答はmuchはfruitを修飾する形容詞だった
eat too muchならmuchはeatを動詞修飾する副詞になるでしょう
語順が関連してる?
SVOがあって、vの後に語があった場合Oの修飾が優先されるルールがある?
いずれにしても解釈は大差ない
甘いフルーツを大量に食べた
大量の甘いフルーツを食べた
GPT-4o.icon[eat] [much [sweet fruit]]
英語では「形容詞+名詞」は基本形(sweet fruit)
そこに「量を表す限定詞(much)」が前置されると:
much sweet fruit(たくさんの甘い果物)
→ この構造は非常によくある形で、英語として自然
「much」は副詞用法もありますが、この文では動詞「eat」に直接はかかりません
✕ eat much(→文法的にはOKだが、通常は「eat a lot」と言う方が自然)
やっぱりこの本の知識以外の細かい知識が大量に合って働きの図示ができるんだなあ
GPT-4o.icon
矢印を引くには
語順 × 品詞 × 意味の自然さ × 語法 × ネイティブの語感
という多層的な知識が必要
語順が意味のヒントになるのは「典型パターン」に限る
「almost completely correct」→ 語順がヒントになる
でも「speak fluently」→ これは語順の逆(後置)が普通
→ 語順のルールはあくまで「傾向」に過ぎず、
語彙と品詞の相性の知識なしには正確な矢印を引けない
英語の副詞は柔軟すぎる
“really” は動詞にも副詞にもかかる
“even”, “only”, “just” なども、語順が同じでも意味が変わる
例:
He only said that.(彼はそれだけを言った)
Only he said that.(彼だけが言った)
→ 矢印を引くには「意味の知識」や「語の機能」の理解が不可欠
どうすればいいか?
違和感がある箇所を、ネイティブコーパスや実例で確認
少しずつ「この語はこういう語にかかりやすい」という感覚を育てる
過去分詞か過去形かってわからないことがある複雑な文章を読んだことがないかも
英語を話すという観点ではやはりこの本はオーバーキルで、構文を覚えたりイメージを持つことの方がよほど重要に思える
一方で正確な読みを要求されるときはこの本のような内容を習得する必要があるんだろう
しかしそれが必要になる人ってどれだけいるんだろうか?
明治16年の東京大学予備門の英語入試問題
Parse all the words
Parse all the words.
In Japan,the greater part of science is still taught through the medium of a foreign language and by the agency of foreign books.
All engaged in education know at once the necessity and disadvantages of this mode of instruction
もともと
変則は「訓読解意ヲ主トシ」邦人が教えるもの、正則は外国人に従い「韻学(発音一筆者注)会話ヨリ始メ」るものである 2)。この南校の流れを汲む、そして予備門の前身である東京英語学校の教授法はいわゆる正則によるものであった。
明治14年
入学試験も「正則ヲ主トシ来リ候」が、何分「解意の力」(読解力)が少ないために本部(学部)へ入ってもしばしば不便を生じ、かつ正則の進歩もまた遅いように思われる、と従来の正則重視が読解力の低下を招いたことを反省し、今後は入学試験に必要な「変則英語」を「一層高尚」にすることが述べられている。
その結果、入学試験科目が改正され、英語は従来の読方・綴文・釈解の 3分野から釈解と文法の 2分野になる。入学試験で解釈と文法が重視されるのは、このあたりに起源があるように思われる。
2025年現在、英文が書けることよりもむしろ話せるかどうかの方が機械支援が受けづらいだろう基素.icon
writingはChatGPTの方がよほどうまい
「medium of a ~」「〜という手段・媒体を通じて」
agency of 〜の仲介で
at once 同時に
mode of instruction 教授法
特に説明なしにこれだけなので、当時はこれを当たり前にやっていたはず
英文を分解して文法的に説明することだろうと著者は推測している
Lesson 3 文 / be動詞 (1) / 誘導副詞 there
Lesson 4 語尾の s / be動詞 (2)
Lesson 5 前置詞 / 動詞型
Lesson 6 助動詞 / 名詞が余ったとき / 限定詞 Lesson 7 進行形
Lesson 8 受身
Lesson 9 完了
Lesson 10 動詞・助動詞の把握(1)
Lesson 11 副詞節
Lesson 12 分詞構文・不定詞副詞用法
Lesson 13 関係代名詞
Lesson 14 関係副詞・関係形容詞
Lesson 15 現在分詞形容詞用法・不定詞形容詞用法
Lesson 16 動詞・助動詞の把握(2)
Lesson 17 名詞節
Lesson 19 wh-word が作る従属節
Lesson 20 過去分詞形容詞用法・過去分詞の分詞構文
Lesson 21 動詞・助動詞の把握(3)
Appendix 1
Appendix 2
Appendix 3
索引